”文学少女”と月花を孕く 水妖



さて、ようやくですが「”文学少女”と月花を孕く水妖」感想です。

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫 の 2-6-6)

↑この表紙は反則すぎるだろう。
内容も美しいのにこんなに良い表紙を持ってこられたら驚愕である。
この絵のセンスは何なのだろう。
「天使」の表紙もやられましたが今回もやられた。

「巡礼者」ではものすごい気になる終わり方でしたが、ここで番外編を持ってくるというなかなかの鬼畜っぷり。
今回は「夜叉ヶ池」という話が題材。
知らないっちゅうねん。
「天使」、「巡礼者」と、結構メジャーな題材が続いてきましたが今回は全く知りません。
しかしまあやっぱりこの作者さんは凄いなぁ、と感嘆するばかり。
凄くまとまっていました。
このシリーズからしばらく身を置いたせいか、遠子先輩と心葉のやりとりが凄く暖かいものに感じる。
今回は心葉が遠子先輩にまともな話を書いてあげる率が高かったですね。
なぜでしょう? きっと遠子先輩が制服じゃなかったk(ry
そういえば麻貴先輩って遠子先輩の異常な食生活を知らないんですかね?
なんだか凄く分かり合えてる二人だったイメージがあるので意外です。
今回の夜叉ヶ池も「幽霊」のときと同様なかなかにホラー要素があるようです。
遠子先輩には鬼門www

「本を捨てる」という麻貴先輩に対しての遠子先輩のリアクションがいいなあ。
さすが”文学少女”。こういうときの遠子先輩は凛々しく見える。

なにも食べないという遠子先輩に心葉は簡素な物語を書いてあげる。
「読むだけ」と言って心葉は遠子先輩に差し出す。
そして読み終えた遠子先輩に、破った手帳を差し出す。
遠子先輩は「ありがとう」とだけ言う。

いいなあ!このシーン。
うん。すっごい涙ぐましかった。
心葉の優しさが全面に押し出されていた。
この二人がこれまでやってこれたのがよく分かります。
照れながらも遠子先輩のことを思いやる心葉がカッコよくて仕方ない。

そして、事件の全貌が見えますね。
結果的に今回の事件は、麻貴先輩の好奇心が招いた物だったんですね。
遠子先輩の”想像”の最初の部分を聞いている限りでは、いつもより謎解き要素が多く、哲学要素が少ないかなぁ、と思っていたのですが、間違いでした。
ゆりが終始恐れていた白雪は、ゆり自身だった。
”理性”がゆりで、”本能”が白雪。イメージとしてはこんな風に日記は構成されていたでしょうか。

そして、なにより俺が感動したのは一番最後の遠子先輩の解釈。
「遠くへ旅立つ明良を見送ろうって。
これから先も明良を想いながら笑っていこうって、そんな風に思えたの」
そして、ゆりの日記の文章がフィードバックします。

明良さんに会えたから、私はきっときっと、この先もずっと笑っているわ

ここで泣きそうになった。
ゆりの心境を想うと、切なくて切なくて。
きっと明良についていきたくていきたくて仕方なかったでしょう。
でも彼女は、己を殺した。
なのに、明良は死んでしまった。それでも、夢のような記憶は残ったんですね。

で、物語が終わるのですが……

 

どんな終わり方やねん!

 

こ、これは反則でしょう。
先が気になって気になって仕方ない。
終始、遠子先輩の持つ秘密を示唆するような文が登場していましたが、これはあまりにもずるい。
というかこの書き方。次がラスト?
とにかく!ひたすら7巻を心待ちにしながら生きることにします。



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